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診察室より 睡眠時無呼吸症候群って何?

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外科胃腸科奥村医院における電子カルテの構築

外科・胃腸科奥村医院 奥村昌明

外科胃腸科奥村医院は、昭和47年8月病床19床をもつ診療所として開院されました。 以来、段階的に医療情報の電子化を進めてまいりました。

■診療情報電子化への道程

院内の情報電子化は、開業以来行なわれた入院手術例の統計を取る為に手術記事をパンチカードに記入した事に始まります。しかし、いざ統計を取る段になり、年次別推移、地域別、年齢別分布、選択された麻酔及び手術術式、 術後の合併症、病理組織分類、術後の遠隔成績等を数値化する為に、11年間2000枚を超えるカードから抽出していく事は大変な労力を必要とする為断念し、現在のコンピュータと比較しますと隔世の感が ありますが、当時のコンピュータを使用し、統計をとりグラフ化を行ないました。これが、思い起こしますと電子カルテシステムへの、アプローチの第一歩でした。

昭和54年冬には、繁雑な医療請求事務を効率化する必要に迫られレセプトコンピュータを導入し、 平成7年10月には、地域医療情報システムの第一歩として当地の医師会立検査センターである笠南医療センターにおいて、精度管理の向上、検査情報伝達の迅速化、慢性疾患患者の管理、 臨床経過報告書の作成、会員間の情報交換等を目的に、臨床検査情報オンラインシステム「MedicalWorkStation」が導入され、慢性疾患患者の管理は臨床検査情報オンラインシステム によって行なわれるようになりました。 このシステムにより、当地域内医院における検査データはコンピュータ管理される事になり、 検査成績の時系列的把握、グラフ化、紹介状の作成等も容易に行なう事が可能となりました。

平成9年には電子内視鏡を導入し、「Nexus Sifsd」による画像管理システムを、平成11年2月には「Cardilight ESP1100」を採用、ECG VIEWER PACK(現在FEV―70にバージョンアップ)を使用し、診察室の机上で心電図を時系列に観察可能としました。

以上のような、院内の情報電子化が進み、心電図、胃大腸内視鏡画像のコンピュータ管理が可能となり、 CT、MRI、ECHO等の電子化も可能となったおり、厚生省指導により、「真性性」「見読性」「保存性」の確保を条件に診療録の電子媒体による保存が容認されました。

そこで、平成12年11月電子カルテ「Medical Tree」を導入し、医事会計、胃大腸内視鏡、心電図を院内ネットワーク(LAN)で接続し、患者情報管理の一元化と、受付から会計までを統括するシステムとして運用を開始しました。

■電子カルテ導入後の実績と課題

電子カルテのメリットとして、次のような点が挙げられます。 正確な患者情報の把握と保存、迅速な情報参照が可能になった事、診療検査情報の時系列観察が容易になる事、又、デジタルカメラで撮った映像や、CT、MRI等のフィルムをスキャナで取り込み、 電子カルテに添付、保存する事が可能になる事によって患者さんに、患者さんの解り易い形で情報を提示する事が可能になった事。これは、いわゆるインフォームドコンセントの基本であり、真の医療の形だと思います。 今後の課題としましては、医療情報の外部との共有、遠隔画像送信等があります。 診々連携、遠隔地医療等においてのIT化の効用が語られて久しいものの、医療情報の電子化の スピードが、各医院、各地域でばらつきが有り、日々蓄積される情報の交換、共有が必ずしも容易では ありません。データ規格の統一化、情報保護の方法論の確立等によって院内、院外を問わない幅広いネットワークの構築が必要だと思われます。 又、消化器、循環器等各分野の専門医の臨床参加を得て医療の質、情報の質のより一層の向上に努めています。

■患者さんへの真摯な対峙の為に

電子カルテ導入における最大の障壁になりうる事柄として、多忙な医療現場において、一体誰が コンピュータを操作し、情報を入力するのかという問題があります。 私の考えでは、電子カルテシステムはあくまでも医療を行なう手段でしかなく、大切な事はその先に見える患者さんへの対応の重要性であり、一人の患者に真摯な対峙をしたか、誠実に交わったかが問われると思っています。そのような理由から、私自身は電子カルテの入力は避け、事務職員が入力し、院内ネットワークで結ばれた7基のコンピュータの運用に、事務4名、看護師6名、レントゲン助手1名からなるスタッフほぼ全員が係るという形をとっております。

幸い大変有能なスタッフに恵まれ一日平均約100名の患者さんへの対応を要求される中、円滑な運用が行なわれております。

■終りに

最後になりましたが、当院の電子カルテは改良すべき点もまだまだ有るものの、開業以来二十数年に渡り「良き医療とは」と考え続けてきた想いの実現されたものであると思っております。

又、システム構築の過程で、プログラムの変更、追加を行ない診療現場の多様な業務に沿ってシステムを構築していただいたMedicalTree開発スタッフに深甚の謝意を表したいと思います。

月刊 新医療 平成14年11月号より